やくの麺業株式会社

2018.08.15 活動報告

オリジナル麺の開発&製麺でお客様に感動と喜びを届ける。

挑戦は信頼へと結びつき、そして成長へ繋がる。 

麺類を通して人々に感動を与える、というコンセプトの元に、お客様のニーズに合わせた麺の開発に取り組む「やくの麺業株式会社」。看板商品の「夜久野そば」は、言わずと知れた夜久野の名物となっている。

麺の味を決める重要な役割を果たす「水」にこだわり、自然が作り出す天然の地下水を使用している。そして、厳選した材料、卓越した経験と技術により、多種多様な麺を全国の飲食店や卸売業者に提供している。

お土産などの常温麺や乾麺はそばが主流ですが、製造の7割は業務用の冷凍麺である「うどん」が占めています。と語る山縣氏。意外にも、看板商品の「そば」よりも、冷凍麺の「うどん」の方が製造のウエイトが高いとのこと。

「他社がやらないことをやる」をモットーにしているうちでは、「包丁切り」したうどんの製造を行なっています。大量生産をする冷凍麺は、機械を通して切るため麺が短くなりますが、うちは包丁切りを行なっているため長い麺が提供できます。四国のうどん店やセルフうどんで出てくるうどんは麺が長いですよね?その点から、飲食店当から多くのご依頼をいただいています。

そう語る山縣直樹氏は今年から代表へと就任。若きトップが語る今後の展望とは…。

 

麺の魅力を知り、出会いの大切さを知るからこそ、目標はやがて「現実」へと変わる。

無理と言わず、まずやってみる。それが強みに。

できるだけ無理と言わないようにすること。これがうちの強みかなと思います。若さゆえにですね(笑)

無理だと分かっていることでも、まずやってみることでお客様にも喜んでいただけます。

以前、大豆屋さんから「大豆だけで麺をつくってくれ」という要望がきたんです。小麦粉を使わずに、となると無理だと分かっていたのですが、やってみました。切って湯がくところまではいくんですが、5センチくらいのバラバラな物になってしまうんです。結局、大豆には繋がる力は無く、大豆だけで麺をつくることはできなかったのですが、結果が分かったことで、先方は喜んでくださいました。

また、若手の従業員が多いというのも、強みになっていると思います。

製造のメインを担当している者が現在31歳。私が新しいことに挑戦するときにも彼がいる。これからどんどん新たなことを攻めていく中で、彼も成長していく。彼が35、6歳になったくらいに、また新たな若手を入れて育てていくことを考えています。

そのため、世代が変わる際に技術の承継をどうしていくか…といった不安などは無いですね。

 

新たな取り組みについて

商工会に背中を押されたのもあり、去年初めて、大阪の展示会に出展しました。

展示会に出したことで、全国的に展開する飲食チェーンとの取引を開始したり、愛媛県の学校給食用に、愛媛県産の小麦粉を使った麺をつくって欲しい、といったような依頼を受けたりもしました。

様々な出会いもあり、とても良い経験となったため、今年か来年には東京の展示会にも出店してみたいと思っています。

私のイメージですが、麺屋は地域に根付いており、外にアピールできていなかったがために、減っていってしまったのではないかと思います。そのため、まずは外に出てアピールをして、通用しなkれば考え方を変える必要があると思います。評価を受けるために外に出るのも良いと思いますね。

「外」という点では、地域社会との繋がりのために、少しずつイベントに出たりもしています。

丹熊の卵で包んだオムそばなど、地域性を謳った商品の販売などをして、製麺会社から外に出た取り組みも行なっています。

 

“ネタ”でそばを韓国のコストコに。

但馬の田舎から、韓国にそばを入れているとなると、ネタとしておもしろいかな…と思って、去年の夏からコストコに入れることを始めました。

この仕事が無くなると困るという体制ではなく、いつ終わっても問題の無いような体制にしています。手ごたえとしては、年に4回よりも注文がなければ、売れていないとみなされてカットされますが、今のペースでいくと悪くないかなという感じですね。注文が入ると、社内はパニックですが、それも含めて楽しいです。

現在、そばの製造のウエイトは減っていますが、夜久野そばから始まっているうちとしては、この取り組みは1つのポイントになるのかなと思います。コストコという組織のため、韓国で実績があれば他の国に繋げていけるかもしれない。だからこそ、爆発的に売れなくても良いので、長く安定して売れる商品となりたいです。

 

今後の展望について。

ご紹介した通り、現在は冷凍うどんの製造のウエイトが高くなっています。

最初に取引が始まったところでは、自社の工場で冷凍うどんを製造していたが、人員不足で製造が厳しくなったところに、たまたまご紹介をいただいて委任を受けるようになりました。

製造する際に、そこでやられていた方法とほぼ同じようにやりたいと思い再現してつくったところ、好評をいただき今も冷凍うどんを納品させていただいております。

1店舗のうどん店からはじめ、チェーン展開されているような、職人上がりの社長さんに喜ばれることが多いです。私自身が製造を一通り分かっているので、営業と社長という関係ではなく、職人同市の話し合いができる点もうちの魅力かなと思います。

自家製麺は生地づくりに手間がかかり大変な一方で、今は飲食店でも人手不足が深刻化しています。人手不足を問題とする企業向けのアウトソーシングの受け皿として今後も力を入れていこうと考えています。

自家製麺のうどん屋さんが人手不足を解消したいときの選択肢を考えてみると、練る工程をやめて生のうどんを買って湯がく、もしくは冷凍麺を買って湯がく、などが考えられます。しかし、そうしてしまうと自家製麺の魅力が一気に無くなってしまいます。

そういった中で、人手不足という問題も解決し、なおかつ自家製麺の魅力も残した麺の提供方法を考案中で、今後はそちらに力を入れていきたいと考えています。

現在、飲食チェーン店の製造委託の話があったり、工場も建てて…というレベルの話も詰めている状況です。それができれば、人も増え、できることも増えます。新たな提案・目標のためにも、早く体制を整えたいなと思っています。

ある飲食チェーン店の社長さんから、「ゴールドラッシュのとき、誰が1番儲けたか」という話を聞きました。有名な話なんで知ってらっしゃるかもしれないんですが、「1番儲けたのはスコップ屋さん」。その話を聞いて、ハッと気づかされましたね。現在は空前のセルフうどんブームですが、製麺会社としてはうどんを食べさせる側ではなく、あくまで供給する側が良い。このスタンスは今後も変わらないです。

大手には価格では勝てないかもしれないが、自社のアレンジや小回りをどう活かすかを考えていく。だんだん年をとるにつれて、お客様の要望に対し「それは無理です」ということが恐らく増えてくる。初心を忘れず、そこをいかに柔軟にフットワーク軽く対応していけるかを大事にしていきたいですね。

社内環境については、昨今の労働環境の改善に関する風潮は中小企業には大変厳しいものと感じています。しかしその流れに順応するのも経営者の手腕だと思うので、今年度には男性の育児休暇取得、5年後には有給休暇消化率100%を目指したいです。また、簡単な作業についてはシニアの雇用も検討しています。

 

「出会い」を大切に。

今の仕事にやりがいを感じていますし、仕事を通しての「出会い」がとても楽しいです。

元々会社にあったネットワークでは無く、自分発信のネットワークが広がったのが5年前くらい。お世話になっている社長さんに誘われて大阪に行き、出汁屋さんや揚げ物屋さん、飲食、工務店など様々な経営者と出会い、現在進行形で経営のトップに立たれている方々の考え方を聞くことができました。その経験をきっかけに、自分自身成長し始めたのではないかと思います。

経営者としてはまだまだ若輩者ですが、その若さを武器に、今後も様々なことにチャレンジしていきたいです。

 

沿革

●昭和10年 細見政雄が精米所を開業
●昭和38年 夜久野そばの製造を開始
●昭和50年 工場新設 乾燥麺の製造を開始
●昭和51年 やくの麺業(株)設立 細見政雄が代表取締役就任
●昭和58年 半生麺の製造を開始
●昭和61年 冷凍麺の製造を開始
●平成元年 代表取締役に細見守就任
●平成2年      大阪阿波座に「夜久野そば阿波座店」をオープン
●平成6年      新工場増設移転
●平成16年 地下水の使用を開始
●平成18年 「夜久野そば阿波座」を閉店
●平成19年 楽天市場にインターネットショッピングサイト「夜久野そば本舗」をオープン
●平成24年 工場屋根に太陽光発電ソーラーパネルを設置
●平成25年 全国展開する飲食店チェーンへの麺の供給を開始
●平成27年 手打ち式包丁切り設備を導入
●平成29年 「半生黒豆うどん」が五つ星ひょうごに認定
●平成30年 代表取締役に山縣直樹が就任

 

企業情報

事業所名:やくの麺業株式会社
代表者名:山縣 直樹
創業年:1934年(昭和9年)
設立年:1976年(昭和51年)
住所:兵庫県朝来市山東町溝黒421
電話番号:079-676-2130
ホームページ:http://www.yakunosoba.co.jp/

【主要事業】
冷凍麺・乾燥麺・半生麺の製造、麺の配送、展示会等への出店、通信販売での企画や商品発送

【主要商品】
業務用冷凍麺

【主な機械設備】
冷凍製麺製造ライン(急速冷凍機)…生産能力6,400食/日
乾麺製造ライン…生産能力3,200食/日
半生麺製造ライン…生産能力9,600食/日

業界で“ちょっと知られた製麺会社”を目指し、
すべてのスタッフの心の充実と社会への貢献を追求する。