ASAGO大學『観光楽部』対談

2018.08.15 活動報告

朝来市の未来に向かって観光×交流が生み出す地域の稼ぐ力

【対談者】大林様(縁結びトラベル)、大畑様(テラスリゾートasago)、浜田様(エレクトリックファンデーション) 

ローカル・イノベーションプロジェクト「ASAGO大學」は、ふるさと名物応援宣言に準拠した地域資源活用事業として、「観光楽部」を設置。「ASAGO大學」の想像力と産学官民農金や異業種交流などのネットワークを活かし『着地型観光』をお届けします。

地域で育んだ新進浄化や健康増進などパワーチャージの旅と呼べる【Asago Wellness】をコンセプトに、体験コンテンツや宿泊滞在に必要なさまざまなおもてなしコンテンツを開発し、朝来市を訪れるお客様に喜んでいただくため、また朝来の魅力をより知っていただくためのサービスを行ない、各楽科別に収益モデルを確立していく計画です。

今回、国が認定した、ASAGO大學と連携したニューツーリズムについて3名の皆さまに語っていただきました。

 

国が認定!ASAGO大學と連携したニューツーリズムとは…。

Asago Wellness Tourism

●産学官民農金の連携から成る『観光楽部』が取組む「Asago Wellness Tourism(あさごウェルネスツーリズム)」事業をなぜ始めようと思ったのか教えてください。

大林:どこの地域も人口減少の問題を抱えており、交流人口を増やしましょうという話になります。地域が資源を活用した商品を開発して、それを持続可能な形にしないと地域は自立していかないのではないかと思います。
しかし旅行商品をつくってビジネスモデルができても、1事業者だけのもので、発信能力がないんですよね。それを、着地型観光の商品として売り出すことができないかと浜田さんに相談したのがスタートです。

浜田:情報発信のツールを旅行業者だから持っていない。それならば、他業種と連携を取っていったらどうですか、という話になりました。
そこで大林さんも参加している「ASAGO大學」と連携して、いろいろな業種と地域の資源を結び付けた着地型観光の商品をつくろうと関係者を交えて企画を重ね、『観光楽部』が立ち上がりました。

●地域資源の活用が大きなテーマですね。朝来市は観光資源の宝庫だと思います。朝来市で観光事業をするうえで何が大切だと思いますか?

浜田:地域内の人たちとの交流が大切ですね。新しい文化や資源が生まれるのは、経験と交流をベースにした対話からしか生まれません。その交流が新しい交流を生み出し、新しいシーンを生み出します。市民の方に『観光楽部』の新しい教授になっていただき、来られた人たちとの交流ができたらおもしろいなと思っています。

大林:大畑さんは宿泊業をされていますが、外から入ってこられて朝来市をどう思いますか?

大畑:私はアクティビティを推進する立場ですが、結構閉鎖的な地域だと感じるので、こちらからどんどん関わっていくことで、心を開いてもらおうといった印象です。そのため、朝来市の人たちとどんどん関わっていけるように、イベントなどにも出ていくようにしています。
農業や生野銀山さんと手を組んで、私どもの宿泊と絡めた試みを考えています。市内の工場さんとも手を組みたいのですが、まだ裾野を開いてもらっていません。そこを広げていき、朝来市でこんな物をつくっているということを発信できる「工場見学ツアー」も提案したらおもしろいと思います。

大林:観光業は何をやっているんだっていうのが朝来市にはあります。多くの観光客をお迎えしているのにも関わらず朝来市は観光に携わっている人が少ない。だからこそ、ここの地域に目を向け、地域を資源として見てビジネスをしましょうという話は1歩も2歩も引いてしまわれるんですよね。先ほど浜田さんがおっしゃっていたように、市内の方に教授として立ってもらって交流するというのは、観光を地域の方々がプラスに捉える1つのきっかけになるのではないかと思います。

浜田:閉鎖的なのはどこも同じです。地域の連携ができていないのが普通。出石や城崎は特殊例で、能動的に観光地に変えたものです。竹田城跡は受動的に観光地になった。そこの対応力を強化していこうというのは良い取り組みだと思います。本来、地域の創生・地域おこしのベースになっているのって、注目を浴びたらとかに目を向けられていますが、実は生産性に目を向けなければいけない。それを考えてくれる行政のあり方は素晴らしいと思います。

 

観光×交流で地域の稼ぐ力をつける。

浜田:竹田城跡は、テレビで取り上げられ、グーグルで注目されて人がいっきに来ました。本当にこれが続くのか…まだみんな疑心暗鬼なんですよね。儲かると思えば、地域外からでも皆集まってきてお店を始めたりします。その環境をつくろうと思うと、朝来市に人が来続けられる仕組みを作らなければいけません。それが5年、10年続けば、放っておいても域外から人が集まり、飲食店を始めるなりなんなりとできます。
せっかく3つのプロジェクトが動きだしているので、注目度を下げないように、いかに他業種と連携を取りながら、見え方を変えてでもその場所に人を集めるということをすれば、地域の稼ぐ力というのはおのずと付いてくるのではないかと思いますね。

大畑:少し話がズレるかもしれないんですが、竹田城跡周辺での食事の面がすごく困っていて…うちのホテルの場合は、竹田城跡に行かれた後、ホテルに帰ってきて朝ごはんを食べてお風呂にも入ってからチェックアウトしていいよ、という普通のホテルではありえないサービスを提案しています。もしくは、地元のカフェにお願いしてサンドイッチを作ってもらい、竹田城跡に持って行ったこともあります。そうでもしないと、お客様に来てもらえません。軽食屋だけじゃなくて、ガッツリ食べられるお店にも出店して欲しいです。
早朝の場合、竹田城跡周辺ではお店がやっていないので、朝5時から9時に営業という風にすれば、どんどんお客さんも来ると思うんです。竹田城跡に来たはいいけど食事をするところが無い…となっているので。

浜田:サービスが提供できないと観光地からは人は離れていってしまうし、でも人が来続けてくれないとサービスが充実していかないし。(笑)

大畑:そうなんです。なのでこっちも頑張るのでお店屋さんも頑張ってください、とこちらからどんどん投げかけて、付き合っていかなくてはいけないですね。

 

「プロ」を集めて観光と繋げていく。

大林:観光のプロが少ないですよね。建築屋さんが観光のプロになりなさいと言われても、えぇ?となってしまう。建築屋さんは建築のプロでいい。プロの素晴らしさを交流という形で伝えてあげればいいと思う。どう商品にしていくかは分からないですが、匠の技を観光商品にすればいい。

●それはいいですね。それを体験型として組み込んでいく。酒蔵屋なら酒蔵の話、工場なら工場…観光のプロじゃないけれど、酒蔵のプロの話が聞ける、工場で家具づくりを体験できる、お土産を自分でつくって持って帰るなど、そういった組み合わせができればお金を地域に落としてもらえますね。

浜田:そういうことの積み重ねだと思います。

●情報発信はどのように行なっているんですか?

大畑:私のところは、この度全国版のプレスリリースというもので発信させていただきました。紙媒体は意味がないと分かったので、SNSの有料広告でどんどん発信しています。結果、ホテルのホームページの閲覧数を上げることで、ホームページのダイレクトインという予約システムの稼働が上がり、ゴールデンウィークの予約も一部キャンセル待ちになっています。
多くて週に1つは新しいプランをつくって売り出しています。よくあるような、プランの内容の文章だけを変えるというものではなく、全く新しいプランをつくって、つくれなかったら繋げて…ということをして発信しています。
朝来市だけではなく、繋がりのあるホテルを何件かコンサルで持っているので、そこのホテルでこちらの情報を発信してもらい、うちではそこのホテルの情報を発信する。見返りつきでどんどん広げていく動きをしています。

 

着地型観光=地域の稼ぐ力

浜田:着地型観光とは地域の稼ぐ力である…なかなかそういうのって分かっているようで分かっていないですよね。

大林:他で着地型観光をやっているところは、企業としてやっているからでしょうね。でも、朝来市内の事業者さんは連携ができていないじゃないですか。情報を共有してあげるとか。

大畑:我々が入ることで、その人たちの情報を一緒に発信してあげることができる。

大林:それを僕は但馬全部でやりたい。そして近畿、全国と広げることを目指したいですね。
関空を降りたら朝来市へ、但馬へどうぞってやっていきたい。敵だ味方だのやっている場合じゃないですね。

●最後にこれだけは伝えたいということはありますか?

大林:着地型観光の商品ってマーケットインじゃなくてプロダクトアウトなんです。普通は、この商品は求められているから…とマーケットインで商品開発される。そうではなく、そこにしかないもの、今しかないものをつくることにメインを置くのであれば、着地型商品はプロダクトアウトなんです。それをどこの導火線に繋げるかは後で探せばいい。1つの大きな道筋はあるとして、これをメインで喜ばせようというプロを集める。人を喜ばせることが好きな人、それだけでいい。あとは匠な人。趣味の範囲でもいいと思います。誇りを持って、自慢できるものを持っている人。課題として抱えている人でもいい。
自分を商品にすればいいんです。でもできない。そこに、できる機会を与えていきたい…これだけは言いたかったんです。(笑)

浜田:多様なもの・サービスを求められる時代のため、多様性をどう捉えるかが課題です。特に地域となると、求められているサービスを画一的な解釈で受け止めることは難しい。じゃあ地域がどうあるべきかというと、地域が多様性であるべきなんです。多様なものを受け入れようと思ったら、組織に多様性がなければ受け入れられない。
地域に集まってくれるという仕組みづくりが大事かなと思います。着地型観光=地域の稼ぐ力みたいなところに、最終的に至るのかなと思いますね。

大林:言って欲しいことを全部言ってくれましたね。(笑)
定期的に集まって、商品になれるものを1個ずつつくっていくんですけど、その渦を大きくしていこうと思います。そのために、すでに手を組まれているところを呼んでいただいて、エッセンスを入れていただけたらと思います。

大畑:組んでいるところ凄く多いですよ。(笑)

浜田:まさに理想的なんですよ。外から来られていろんな地域外の人を繋ぎまくっている。そういう多様性を持った人が1人いるだけでも、地域は多様性を担保していることになる。こういう人が増えてくれることが大前提ですね。いろんな人が集まることで、地域が活力のある町になっていきます。

●未来に向かっての交流ですね。ASAGO大學では、地域内の交流ではなく地域外との交流を掲げています。今は外から稼いで来なくてはいけない。
地域の稼ぐ力をつけましょうというテーマで、ASAGO大學は今後も旗を振っていきます。そして、『観光楽部』によって交流の渦が広がっていくことを楽しみにしています。
本日はお忙しいところお集まりいただきありがとうございました。

 

対談企業情報

事業所名:有限会社いけがわ
代表者名:片山 剛伸
住所:兵庫県朝来市和田山町寺谷338‐1
電話番号:079-668-9955

 

事業所名:エレクトリックファンデーション株式会社
代表者名:浜田 祐一郎
住所:兵庫県豊岡市日高町江原118‐2
電話番号:0796-20-1055
ホームページ:https://www.electricfoundation.jp/

 

【業務内容】

有限会社いけがわ
ギフト販売・旅行事業(縁結びトラベル)を展開。
ギフト接客販売・営業・包装事業、旅行事業、葬祭業

株式会社エデュテイメントワークス
山の上に立つ、豊かな自然に囲まれたリゾートホテル。
ホテル事業、企業・学校等の研修利用、合宿利用
※平成30年7月豪雨により「雲海と星空のホテル テラスリゾートasago」は無期限休業。

エレクトリックファンデーション株式会社
広告を戦略として捉えて経営戦略との整合性を高める。
ブランドコンストラクション及びブランドマーケティング
広告物全般の企画・制作・戦略策定
戦略策定コンサルティング、アパレル事業、モデル事業