○朝来市文化財保護条例
平成17年4月1日
条例第129号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 有形文化財(第5条―第12条)
第3章 無形文化財(第13条―第18条)
第4章 民俗文化財(第19条―第23条)
第5章 記念物(第24条―第27条)
第6章 文化財保護審議会(第28条―第36条)
第7章 補則(第37条・第38条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、朝来市内に所在する文化財で、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)又は兵庫県文化財保護条例(昭和39年兵庫県条例第58号。以下「県条例」という。)の規定による指定を受けた文化財以外の文化財で市にとって重要なものについて、その保存及び活用のため必要な措置を講じ、もって市民の文化的向上に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。
(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で市にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)
(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で、市にとって歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)
(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能及びこれらに用いる衣服、器具、家屋その他の物件で、市民の生活の推移を理解するため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)
(4) 貝づか、古墳、城跡、旧宅その他の遺跡で市にとって歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋りょう、峡谷、山岳その他の名勝地で市にとって芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然現象の生じている土地を含む。)で、市にとって学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)
(市民、所有者等の心構え)
第3条 市民は、文化財の保護に対する意識を高め、市がこの条例に基づいて行う措置に協力しなければならない。
2 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等、その文化的活用に努めなければならない。
(財産権等の尊重及び他の公益との調整)
第4条 朝来市教育委員会(以下「委員会」という。)は、この条例の執行にあたっては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。
第2章 有形文化財
(指定)
第5条 委員会は、市の区域内に所在する有形文化財のうち市にとって重要なものを、所有者又は権原に基づく占有者の申請に基づき又はその同意を得て、朝来市指定有形文化財(以下「市指定有形文化財」という。)に指定することができる。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。
2 委員会は、前項の規定による指定をするときは、その旨を告示するとともに、当該市指定有形文化財の所有者に通知しなければならない。
4 委員会は、第1項の規定による指定をしたときは、当該市指定有形文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
(指定の解除)
第6条 市指定有形文化財がその価値を失ったとき、市内に所在しなくなったとき、又はその他特殊の事由があるときは、委員会はその指定を解除することができる。
3 市指定有形文化財が法第27条第1項の規定により重要文化財に、又は県条例第4条第1項の規定により兵庫県指定重要有形文化財に指定されたときは、当該市指定有形文化財の指定は、解除されたものとする。
4 前項の場合には、委員会はその旨を所有者に通知するものとする。
(管理又は修理に関する指示)
第7条 委員会は、市指定有形文化財の所有者に対し、市指定有形文化財の管理又は修理に関し必要な指示をすることができる。
(所有者の管理義務及び管理責任者)
第8条 市指定有形文化財の所有者は、この条例及びこれに基づく委員会の指示に従い、市指定有形文化財を管理しなければならない。
2 所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わり当該市指定有形文化財の管理の責めに任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。
(届出及び現状変更等の制限)
第9条 所有者又は管理責任者は、次に掲げる場合には、速やかに委員会に届け出なければならない。
(1) 市指定有形文化財の所有者が変更したとき。
(2) 市指定有形文化財の管理責任者を選任又は解任したとき。
(3) 所有者又は管理責任者がその氏名(法人にあっては、その名称商号)又は住所を変更したとき。
(4) 市指定有形文化財の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。
(5) 市指定有形文化財の所在の場所を変更したとき。
2 所有者又は管理責任者は、市指定有形文化財の現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、委員会の許可を受けなければならない。
(補助)
第10条 市は、市指定有形文化財の管理又は修理に関し、所有者又は管理責任者の申請に基づきその経費の一部に充てさせるため予算の範囲内で補助金を交付することができる。
2 委員会は、前項の補助金を交付する場合において、その補助条件として管理又は修理に関し必要な事項を指示することができる。
(公開)
第11条 委員会は、市指定有形文化財の所有者又は管理責任者に対し、6月以内の期間を限って公開の用に供するため当該市指定有形文化財の出品を勧告することができる。
2 市は、前項の規定による出品のために要する費用の全部又は一部を負担することができる。
(報告の徴収)
第12条 委員会は、必要があると認めるときは、所有者又は管理責任者に対し、当該市指定有形文化財の現状又は管理若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。
第3章 無形文化財
(指定)
第13条 委員会は、市の区域内に所在する無形文化財のうち市にとって重要なものを、朝来市指定無形文化財(以下「市指定無形文化財」という。)に指定することができる。
2 委員会は、前項の規定による指定をするときは、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体(市指定無形文化財を保持する者が主たる構成員となっている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下この章において同じ。)を認定しなければならない。
3 委員会は、第1項の規定による指定は、その旨を告示するとともに、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定しようとするもの(保持団体にあっては、その代表者)に通知しなければならない。
4 委員会は、第2項の規定による認定をしたときは、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体の代表者に認定書を交付しなければならない。
5 委員会は、第1項の規定による指定をした後においても、当該市指定無形文化財の保持者又は保持団体として認定するに足りるものがあると認めるときは、その者を保持者又は保持団体として追加認定することができる。
(指定の解除)
第14条 市指定無形文化財がその価値を失ったとき、市内に所在しなくなったとき、又はその他特別の事由があるときは、委員会はその指定を解除することができる。
2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなったと認められるとき、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなったと認められるとき、又はその他特別の事由があるときは、委員会はその認定を解除することができる。
4 市指定無形文化財が法第71条第1項の規定により重要無形文化財に、又は県条例第20条第1項の規定により兵庫県指定重要無形文化財に指定されたときは、当該市指定無形文化財の指定は、解除されたものとする。
5 前項の場合には、委員会はその旨を保持者又は保持団体に通知するものとする。
7 保持者が死亡したとき、又は保持団体が解散したとき(消滅したときを含む。以下この条及び次条において同じ。)は、当該保持者又は保持団体の認定は解除されたものとし、委員会はその旨を告示しなければならない。
(保持者の氏名変更等)
第15条 保持者が氏名若しくは住所を変更し、又は死亡したときは、保持者又はその相続人は、速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。保持団体が名称、事務所の所在地若しくは代表者を変更し、市指定無形文化財を保持する者である構成員に異動を生じ、又は解散したときも、代表者(保持団体が解散した場合にあっては、代表者であった者)について同様とする。
(補助)
第16条 市は、市指定無形文化財の保護に関し、保持者又は保持団体の申請に基づきその経費の一部に充てさせるため予算の範囲内で補助金を交付することができる。
(公開)
第17条 委員会は、市指定無形文化財の保持者又は保持団体に対し、当該市指定無形文化財を公開することを勧告することができる。
2 市は、前項の規定による公開のために要する費用の全部又は一部を負担することができる。
(記録作成)
第18条 委員会は、市の区域内に存する無形文化財のうち、市にとって重要なものの保存のため必要があるときは、自ら記録の作成をすることができる。
第4章 民俗文化財
(指定)
第19条 委員会は、市の区域内に存する有形の民俗文化財のうち市にとって重要なものを、所有者又は権原に基づく占有者の申請に基づき又はその同意を得て、朝来市指定有形民俗文化財(以下「市指定有形民俗文化財」という。)に、無形の民俗文化財のうち市にとって重要なものを朝来市指定無形民俗文化財(以下「市指定無形民俗文化財」という。)に指定することができる。
2 前項の規定による市指定有形民俗文化財の指定をするときは、委員会はその旨を告示するとともに、当該有形民俗文化財の所有者又は権原に基づく占有者に通知しなければならない。
4 委員会は、第1項の規定による市指定有形民俗文化財の指定をしたときは、当該市指定有形民俗文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。
5 第1項の規定による市指定無形民俗文化財の指定をするときは、その旨を告示しなければならない。
(指定の解除)
第20条 市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財がその価値を失ったとき、市内に所在しなくなったとき、又はその他特別の事由があるときは、委員会はその指定を解除することができる。
4 市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財が法第78条第1項の規定により重要有形民俗文化財又は重要無形民俗文化財に、又は県条例第27条第1項の規定により兵庫県指定重要有形民俗文化財又は兵庫県指定重要無形民俗文化財に指定されたときは、当該市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財の指定は、解除されたものとする。
(市指定有形民俗文化財の保護)
第21条 市指定有形民俗文化財に関し、その現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとする者は、あらかじめその旨を委員会に届け出なければならない。
2 委員会は、市指定有形民俗文化財の保護上必要があると認められるときは、前項の届出に係る現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し、必要な指示をすることができる。
(市指定無形民俗文化財の保存に関する助言又は勧告)
第22条 委員会は、市指定無形民俗文化財の保存に当たることを適当と認める者に対し、その保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。
第5章 記念物
(指定)
第24条 委員会は、市の区域内に存する記念物のうち市にとって重要なものを、所有者又は権原に基づく占有者の申請に基づき又はその同意を得て、朝来市指定史跡、朝来市指定名勝又は朝来市指定天然記念物(以下「市指定記念物」と総称する。)に指定することができる。ただし、所有者又は権原に基づく占有者が判明しない場合は、この限りでない。
2 委員会は、前項の規定による指定をするときは、その旨を告示するとともに、当該市指定記念物の所有者又は権原に基づく占有者に通知しなければならない。
4 委員会は、第1項の規定による市指定記念物の指定をしたときは、当該市指定記念物の所有者に指定書を交付しなければならない。
(指定の解除)
第25条 市指定記念物がその価値を失ったとき、又はその他特別の事由があるときは、委員会はその指定を解除することができる。
3 市指定記念物が法第109条第1項の規定により史跡、名勝又は天然記念物に指定されたとき、又は県条例第31条第1項の規定により兵庫県指定史跡名勝天然記念物に指定されたときは、当該市指定記念物の指定は解除されたものとする。
(土地異動の届出)
第27条 市指定記念物の指定地域内の土地について、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があったときは、所有者又は管理責任者は速やかにその旨を委員会に届け出なければならない。
第6章 文化財保護審議会
(設置)
第28条 委員会の附属機関として、朝来市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(所掌事務)
第29条 審議会は、委員会の諮問に応じて文化財の保存及び活用に関する専門的技術的事項を調査審議し、必要と認める事項を委員会に建議する。
(審議会への諮問)
第30条 委員会は、次に掲げる事項については、あらかじめ審議会に諮問しなければならない。
(1) 市指定有形文化財の指定及びその指定の解除
(2) 市指定無形文化財の指定及びその指定の解除
(3) 市指定無形文化財の保持者又は保持団体の認定及びその認定の解除
(4) 市指定有形民俗文化財又は市指定無形民俗文化財の指定及びその指定の解除
(5) 市指定記念物の指定及びその指定の解除
(6) その他委員会が必要と認めた事項
(組織)
第31条 審議会は、委員10人以内で組織する。
2 特別の事項を調査審議するため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
3 委員及び臨時委員は、学識経験を有する者のうちから委員会が委嘱する。
4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。
5 臨時委員は、当該特別の事項の調査審議が終わったときは、退任するものとする。
6 委員及び臨時委員は、非常勤とする。
(会長及び副会長)
第32条 審議会に会長及び副会長1人を置き、委員の互選により定める。
2 会長は、審議会の会務を総理する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
(会議)
第33条 審議会の会議(以下「会議」という。)は、会長が招集し、会長が議長となる。
2 会議は、委員及び議事に関係のある臨時委員の過半数が出席しなければ、これを開き、議決することができない。
3 会議の議事は、出席した委員及び議事に関係のある臨時委員の過半数を以て決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(書面による審議)
第34条 前条第1項の規定にかかわらず、会長が会議を招集する時間的余裕がないと認めるとき、又は困難であると認めるときは、委員及び議事に関係のある臨時委員に書面を送付し、審議することをもって会議に代えることができる。
3 第1項の規定により書面による審議を行ったときは、会長は、速やかにその結果を委員及び議事に関係のある臨時委員に報告しなければならない。
(委員の報酬)
第35条 委員の報酬は、朝来市委員会の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例(平成17年朝来市条例第63号)の定めるところによる。
(庶務)
第36条 審議会の庶務は、委員会事務局において処理する。
第7章 補則
(補助金の返還)
第37条 委員会は、この条例の規定により補助金の交付を受けた者が、この条例に基づいて付した条件に違反したとき、又はその他特別の事由があると認めるときは、補助金の全部又は一部の返還を命ずることができる。
(委任)
第38条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。
附則
この条例は、平成17年4月1日から施行する。
附則(令和2年条例第39号)
この条例は、公布の日から施行する。