○朝来市自治基本条例
平成21年3月30日
条例第2号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 まちづくりの主体
第1節 市民(第4条・第5条)
第2節 市議会(第6条・第7条)
第3節 行政機関(第8条・第9条)
第3章 参画と協働(第10条―第13条)
第4章 市民自治(第14条―第17条)
第5章 市政運営(第18条―第28条)
第6章 国、兵庫県及び他の地方公共団体との関係(第29条・第30条)
第7章 この条例の位置付け(第31条・第32条)
附則
私たちのまち朝来市は、市川と円山川の源を発する美しい山々に抱かれた田園など豊かな自然に恵まれるとともに、丹波や播磨の地と交わる但馬の要衝の地にあります。
また、浪漫を伝える多くの古墳や、古寺・古社、城跡とまつりなどの歴史文化遺産とともに、銀山をはじめとする時代の産業遺産を有しています。
私たちは、先人のたゆまぬ努力と営みによって大切に守り育てられてきたこれら地域の財産を未来に継承するとともに、いつまでも住み続けたい、住み続けられるまちをつくっていくことを願っています。
私たちは、朝来市民憲章を踏まえながら、一人一人がまちづくりの担い手として、基本的人権を尊重して、考え行動し、ともに助け合いながら市民自治のまちづくりを実現するため、朝来市の最高規範として、ここに朝来市自治基本条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民自らが考えて行動し、ともに助け合いながらまちをつくるという理念のもと、まちづくりにおける基本的な事項を定め、市民、市議会及び市長等のそれぞれの役割及び責務等を明らかにし、市民自治によるまちづくりを実現することを目的とする。
(1) 市民 市内に住所を有する者、市内で働く者及び学ぶ者並びに市内において事業活動その他の活動を行う者若しくは団体をいう。
(2) 市 基礎自治体としての朝来市をいう。
(3) 市長等 市長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員、農業委員会及び固定資産評価審査委員会をいう。
(4) まちづくり 快適な生活環境の確保、地域社会における安全及び安心の推進など、住みよいまちを実現するための公共的な活動の総体をいう。
(5) 市政 まちづくりのうち市議会及び市長等が担うものをいう。
(まちづくりの基本原則)
第3条 まちづくりは、次の各号に掲げる事項を原則として推進されなければならない。
(1) 参画と協働の原則 まちづくりの主体である市民の意思を反映させるとともに、市民、市議会及び市長等が相互理解のもとに協働で推進すること。
(2) 情報の共有の原則 市民、市議会及び市長等がそれぞれ保有するまちづくりに関する情報を共有しながら推進すること。
(3) 自律と共助の原則 自らできることは自ら行い、一人一人の多様性を認め合い、助け合いながら持続的に推進すること。
第2章 まちづくりの主体
第1節 市民
(市民の権利及び責務)
第4条 市民は、まちづくりに関する情報を知り、まちづくりに参画する権利を有する。
2 市民は、互いの自由な発言や行動を認め合いながら、市政に関する認識を深めてまちづくりに寄与するよう努めるものとする。
(事業者の社会的責任)
第5条 市内において事業活動その他の活動を行う者若しくは団体は、事業活動を行うに当たり、地域社会を構成する一員としての社会的な役割を自覚し、地域社会との調和を図るよう努めるものとする。
第2節 市議会
(市議会の役割及び責務)
第6条 市議会は、市民を代表する公選の議員をもって構成される市の意思決定機関であり、適正に市政運営が行われているかを監視する機関としての役割を果たすとともに、機能の充実強化に努めるものとする。
(議員の責務)
第7条 議員は、市民の信託に応え、自己の研さんに努めるとともに、誠実に職務を遂行しなければならない。
第3節 行政機関
(市長等の権限及び責務)
第8条 市長は、市民の信託を受けた執行機関として市を統轄し、市を代表する。
2 市長は、この条例に基づき、公正かつ誠実に職務を遂行しなければならない。
3 市長以外の執行機関は、自らの判断と責任においてその所管する職務を公正かつ誠実に執行するとともに、市長及び他の執行機関と協力して市政運営に当たらなければならない。
(職員の責務)
第9条 職員は、市民全体のために働く者として、公正かつ誠実に職務を遂行し、職務に必要な専門的知識の習得及び能力向上に努めなければならない。
2 職員は、自らも地域社会の一員であることを認識し、積極的に市民と連携して、まちづくりに取り組まなければならない。
第3章 参画と協働
(参画と協働の推進)
第10条 市民、市議会及び市長等は、参画と協働を推進するため、対等の関係で目的及び情報を共有し、それぞれの特性を理解して連携し、及び協力し、相乗効果を発揮できるよう努めなければならない。
2 市議会及び市長等は、市民の参画と協働を推進するため、政策等の立案、実施、評価及び改善過程において、多様な手段による参画の機会を設けるよう努めなければならない。
3 市議会及び市長等は、参画と協働の推進に当たって、市民の自主性を尊重するよう努めなければならない。
(意見公募制度)
第11条 市長等は、市民生活に大きな影響を及ぼす計画の策定若しくは変更、条例の制定若しくは改廃又は施策の実施に当たっては、市民に情報を提供し、意見又は提案を求めるための必要な措置を講じなければならない。
(審議会等の運営)
第12条 市長等は、審議会等の委員の選任に当たっては、広く市民の参画に配慮した委員構成にするとともに、原則として委員の全部又は一部を市民から公募しなければならない。
2 市長等は、審議会等の会議及び会議録を原則として公開しなければならない。
(住民投票)
第13条 市長は、市政に関する重要な事項について、市民の意思を確認するため、当該事項ごとに、別に条例で定めるところにより、住民投票を実施することができる。
2 市長は、住民投票の結果を尊重しなければならない。
第4章 市民自治
(コミュニティの形成)
第14条 市民、市議会及び市長等は、基礎的なコミュニティの役割を認識し、守り、育てるよう努めるものとする。
(地域自治協議会の設立)
第15条 一定のまとまりのある地域内の市民は、その地域内において、多様な主体で構成された一つの自治組織(以下「地域自治協議会」という。)を設立することができる。
(1) 地域の総意が反映され、民主的で透明性を持ち、地域内の誰もが希望に応じて運営に参加できること。
(2) 地域の課題を共有し、その解決に向けて地域自治協議会が取り組む地域のまちづくり目標、活動方針等を定めた地域まちづくり計画を策定すること。
(まちづくり活動への支援)
第16条 市民は、安心して暮らせる住みよい地域を実現するため、互いに助け合い、地域の課題を共有し、その解決に向けて自ら行動するよう努めるものとする。
(生涯学習の推進)
第17条 市民は、自らが生涯を通じてさまざまな学習を重ね、豊かな人間性を育むよう努めるものとする。
2 市長等は、市民のまちづくりに関する学習の機会を確保し、まちづくり活動への参加が促進されるよう努めなければならない。
第5章 市政運営
(総合計画)
第18条 市は、総合的かつ計画的な市政運営を図るため、市の政策を定める最上位の計画として、総合計画を策定するものとする。
2 総合計画は、目指すべき将来像を定める基本構想、基本構想を実現するために必要な施策を体系的に示す基本計画及び基本計画で定めた施策を推進するための具体的な事業計画を定める実施計画により構成するものとする。
3 総合計画の策定に当たっては、広く市民の参画を得るものとする。
4 市長は、地域自治協議会が策定した地域まちづくり計画について、総合計画に反映するよう努めるものとする。
5 市長は、総合計画の内容を実現するため、適切な進行管理を行わなければならない。
6 総合計画は、常に社会の変化に対応できるよう検討を加え、必要に応じて見直しを図らなければならない。
(財政運営)
第19条 市長は、公表した財政計画に基づき、計画的かつ健全な財政運営に努めなければならない。
2 市長は、毎年度の予算及び決算その他市の財政状況に関する情報を、別に条例で定めるところにより、市民に分かりやすく公表しなければならない。
(情報公開)
第20条 市議会及び市長等は、市民の知る権利を保障し、市民に説明する責任を果たすため、別に条例で定めるところにより、その保有する公文書を適正に開示しなければならない。
(情報提供)
第21条 市議会及び市長等は、市民との情報の共有を図るため、市政に関する情報を積極的に市民に提供するよう努めなければならない。
(説明責任)
第22条 市議会及び市長等は、政策等の立案、実施、評価及び改善過程において、その経過、内容、効果等について市民に分かりやすく説明する責任を果たさなければならない。
(行政評価)
第23条 市長等は、効果的で効率的な市政運営を図るため、行政評価を行い、その結果を施策の改善及び見直しに反映させるとともに、分かりやすく市民に公表しなければならない。
(行政手続)
第24条 市長等は、市民の権利及び利益を保護するため、別に条例で定めるところにより、処分、行政指導及び届出に関する手続に関し、公正の確保と透明性の向上を図らなければならない。
(個人情報の保護)
第25条 市議会及び市長等は、市民の権利及び利益が侵害されることのないよう、個人情報の収集、利用、提供及び管理等について必要な措置を講じなければならない。
(法令遵守及び公益通報)
第26条 市議会及び市長等は、常に法令を遵守し、市政を公正に運営しなければならない。
2 市長等は、市政運営上の違法行為又は公益の損失を防止するため、公益通報について必要な措置を講じなければならない。
(行政組織)
第27条 市長は、社会情勢に柔軟に対応できるよう、機能的かつ効率的な組織の編成に努めなければならない。
(危機管理)
第28条 市長等は、災害等の事態に備える総合的かつ機動的な危機管理体制の確立に努めなければならない。
2 市長等は、災害等の発生時には、市民及び関係機関との連携及び協力により、速やかに状況を把握し、必要な対策を講じなければならない。
第6章 国、兵庫県及び他の地方公共団体との関係
(国及び兵庫県との関係)
第29条 市は、市民に最も身近な地方政府として、国、兵庫県との対等の立場を踏まえ、地方自治の発展のため、それぞれ適切な役割分担に努めるものとする。
(他の地方公共団体等との連携)
第30条 市は、共通する課題の解決及び効果的で効率的な市政運営のための事務処理、大規模災害時の相互応援等を行うため、他の地方公共団体等と連携し、及び協力するものとする。
第7章 この条例の位置付け
(条例の見直し)
第32条 市は、この条例が市にふさわしく、社会情勢に適合しているかどうかを適切な時期に検証し、その結果に基づき必要な見直しを行うものとする。
附則
この条例は、平成21年4月1日から施行する。
附則(平成23年条例第23号)
この条例は、公布の日から施行する。