○朝来市犯罪被害者等支援条例

平成29年12月26日

条例第30号

(目的)

第1条 この条例は、犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号。以下「法」という。)の基本理念にのっとり、市及び市民並びに事業者の責務を明らかにするとともに、本市における犯罪被害者等を支援するための施策の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等が必要とする施策を推進し、もって犯罪被害者等が受けた被害の軽減及び回復を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 犯罪行為 日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行われた人の生命又は身体を害する罪に当たる行為(刑法(明治40年法律第45号)第37条第1項本文、第39条第1項又は第41条の規定により罰せられない行為を含むものとし、同法第35条又は第36条第1項の規定により罰せられない行為及び過失による行為を除く。)をいう。

(2) 犯罪被害 犯罪行為による死亡又は重傷病(負傷又は疾病(精神的な疾病を含む。)であって、その療養に要する期間が1箇月以上であると医師により診断されたものをいう。)をいい、犯罪行為の時又はその直後における心身の被害であってその後の死亡又は重傷病の原因となり得るものを含む。

(3) 市民 住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第5条の規定により市の住民基本台帳に記録されている者をいう。

(4) 犯罪被害者等 犯罪被害を受けた者(以下「犯罪被害者」という。)及びその家族又は遺族をいう。

(5) 関係機関等 国、兵庫県その他の関係機関及び犯罪被害者等に対する支援を行う民間の団体その他の犯罪被害者等の支援に関係するものをいう。

(市の責務)

第3条 市は、法第5条の規定に基づき、関係機関等との適切な役割分担を踏まえ、犯罪被害者等を支援するための施策を策定し、及び実施するものとする。

2 市は、犯罪被害者等を支援するための施策が円滑に実施されるよう、犯罪被害者等の支援に係る体制の整備に努めるものとする。

(市民及び事業者の責務)

第4条 市民及び事業者は、犯罪被害者等の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は二次的被害(犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為(以下この条において「犯罪等」という。)により犯罪被害者等が直接害を被るもののほか、風評、中傷又は報道機関の報道等により犯罪被害者等が被る精神的な苦痛、心身の故障、経済的な損失その他の犯罪等に関する二次的な被害をいう。)を生じさせることのないよう十分配慮するとともに、市及び関係機関等が行う犯罪被害者等の支援に協力するよう努めるものとする。

(相談及び情報の提供等)

第5条 市は、犯罪被害者等が日常生活又は社会生活を円滑に営むことができるようにするため、犯罪被害者等が直面している様々な問題について相談に応じ、必要な助言及び情報の提供を行うとともに、関係機関等との連絡調整を行うものとする。

2 市は、前項に規定する支援を総合的に行うための相談窓口を設置するものとする。

(犯罪被害者等見舞金の支給)

第6条 市は、犯罪被害者等のうち犯罪被害を受けた時において市民であったものに対し、経済的負担の軽減を図るため、犯罪被害者等見舞金を支給するものとする。

2 前項の犯罪被害者等見舞金は一時金とし、その種類及び金額は、次のとおりとする。

(1) 遺族見舞金 30万円

(2) 重傷病見舞金 10万円

3 重傷病見舞金の支給を受けた犯罪被害者が、当該見舞金の支給の原因となった犯罪被害に起因して死亡した場合において支給される遺族見舞金の額は、前項第1号の規定にかかわらず、同号に定める額から既に支給を受けた重傷病見舞金の額を控除した額とする。

4 遺族見舞金の支給を受けるべき第1順位の遺族が2人以上ある場合におけるこれらの者に係る遺族見舞金の額は、第2項第1号の規定に関わらず、同項に定める額をその人数で除して得た額(その額に100円未満の端数を生じたときは、これを切り捨てた額)とする。

(犯罪被害者等見舞金の支給対象者)

第7条 犯罪被害者等見舞金の支給を受けることができる者(以下「受給資格者」という。)は、次に掲げる見舞金の区分に応じ、当該各号に定める者とする。

(1) 遺族見舞金 犯罪行為により死亡した者の第1順位遺族(次条第3項の規定により第1順位となる遺族をいう。)

(2) 重傷病見舞金 犯罪行為により重傷病を負った者

(遺族の範囲及び順位)

第8条 前2条の規定により遺族見舞金の支給を受けることができる受給資格者である遺族は、犯罪被害者の死亡の時において、次の各号のいずれかに該当するものとする。

(1) 犯罪被害者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。以下同じ。)

(2) 犯罪被害者の収入によって生計を維持していた当該犯罪被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹

(3) 前号に該当しない犯罪被害者の子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹

2 犯罪被害者の死亡の当時胎児であった子が出生した場合においては、前項の規定の適用については、その子は、その母が犯罪被害者の死亡の当時犯罪被害者の収入によって生計を維持していたときにあっては同項第2号の子と、その他のときにあっては同項第3号の子とみなす。

3 遺族見舞金の支給を受けるべき遺族の順位は、第1項各号の順序とし、同項第2号に掲げる者のうちにあっては、同号に掲げる順序とする。

4 前項の場合において、同順位の父母については、養父母を先とし、実父母を後とし、同順位の祖父母については、養父母の父母を先にし、実父母の父母を後にし、父母の養父母を先にし、父母の実父母を後にする。

5 犯罪被害者を故意に死亡させ、又は犯罪被害者の死亡前若しくは死亡後に、その者の死亡によって遺族見舞金の支給を受けることができる先順位若しくは同順位の遺族となるべき者若しくは遺族を故意に死亡させた者は、遺族見舞金の支給を受けることができない。

(犯罪被害者等見舞金の支給申請)

第9条 犯罪被害者等見舞金の支給を受けようとする者は、規則で定めるところにより、市長に申請しなければならない。

(犯罪被害者等見舞金の支給制限)

第10条 市長は、次に掲げる場合には、犯罪被害者等見舞金の支給をしないことができる。

(1) 犯罪被害者等が犯罪行為を誘発したとき、その他当該犯罪被害につき、犯罪被害者等にも、その責めに帰すべき行為があったとき。

(2) 犯罪被害者等が朝来市暴力団排除条例(平成25年朝来市条例第36号)第2条に規定する暴力団員又は暴力団密接関係者であるとき。

(3) 前2号に掲げる場合のほか、犯罪被害者等と加害者との関係その他の事情から判断して、犯罪被害者等見舞金の支給をすることが社会通念上適切でないとして規則で定める場合に該当するとき。

(犯罪被害者等見舞金の支給決定)

第11条 市長は、第9条の規定による申請があったときは、速やかに審査を行い、支給の可否を決定しなければならない。

(犯罪被害者等見舞金の返還)

第12条 市長は、偽りその他不正の手段により犯罪被害者等見舞金の支給を受けた者があるとき、又は犯罪被害者等見舞金の支給後において、第10条の規定に該当することが判明したときは、当該犯罪被害者等見舞金を返還させるものとする。

(日常生活の支援)

第13条 市は、受給資格者であって日常生活を営むことについて支障があると市長が認める者のうち、規則で定める要件のいずれかを満たすものに対し、規則で定めるところにより、家事援助を行う者の派遣及び一時保育に要する費用の助成を行うものとする。

(居住の安定支援)

第14条 市は、受給資格者であって従前の住居に居住することが困難となったと市長が認める者のうち、規則で定める要件を満たすものに対し、規則で定めるところにより、新たに入居する賃貸住宅の家賃の助成及び転居に要する費用の助成を行うものとする。

(雇用の安定支援)

第15条 市は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、関係機関等と連携し、犯罪被害者等が置かれている状況について事業者の理解を深めるために必要な施策を実施するものとする。

(市民及び事業者の理解の促進)

第16条 市は、犯罪被害者等が置かれている状況、その名誉又は生活の平穏への配慮その他犯罪被害者等に対する支援の重要性等について、市民及び事業者の理解を深めるために必要な施策を実施するものとする。

(準用)

第17条 第9条から第12条までの規定は、日常生活の支援及び居住の安定支援について準用する。この場合において、これらの規定中「犯罪被害者等見舞金」とあるのは「家事援助を行う者の派遣及び一時保育に要する費用の助成並びに新たに入居する賃貸住宅の家賃の助成及び転居に要する費用」と、「支給」とあるのは「助成」と読み替えるものとする。

(委任)

第18条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成30年4月1日から施行し、同日以後に行われた犯罪行為による死亡又は重傷病について適用する。

朝来市犯罪被害者等支援条例

平成29年12月26日 条例第30号

(平成30年4月1日施行)