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フランス出身のボコブサ・ローラさんは、フランス・パリの大学に在学中に早稲田大学へ留学。
帰国後は、日本に関連のある企業で仕事をしながら別の大学で国際商業を専攻し、修士号を取得されました。
その後、諸外国の若者を地方公務員等として任用する「JETプログラム(外国青年招致事業)」を利用して2023年8月から朝来市の職員として着任。
朝来市と芸術文化交流を行っているフランス・バルビゾン村との交流や、フランス語文化講座の講師、通訳対応などの事業に携わり活躍されています。
JETプログラムによって国際交流員として派遣されたローラさん。
当時のJETプログラムの募集は、名古屋市(愛知)、豊田市(愛知)、豊岡市(兵庫)、朝来市(兵庫)の4つだったそうです。
その中からローラさんは朝来市を希望し、希望どおり本市に配属されました。
「フランス・パリは世界遺産からショッピングモールに至るまで何でもあったので、逆に何もないところに行ってみたかった」。
大学入学以降を大都市パリで暮らしたこともあり、彼女にとっては、都会の喧騒よりも、田舎ののんびりとした環境で過ごしたかったそうで、そのイメージに一番近かったのが朝来市でした。
◎ローラさんの出身地 フランス・パリの街並み
かねてから日本の文化に興味を持っていたローラさんが、はじめて日本文化に接するきっかけとなったのが、小学生の頃に見ていたアニメ番組「おジャ魔女どれみ」だったそうです。
いつもランチタイムに放送していたのを見て、日本のアニメにすごく興味を惹かれたそう。
フランスの小学校では昼食時に帰宅することは珍しくなく、いつもその時間にフランス語に吹き替えされた日本のアニメを見ていたそうです。
ローラさんが影響をうけたのはアニメだけではなく、日本の漫画も。
吹き替えのないインターネット配信のアニメや、コミック雑誌など、どうしても内容を知りたくて、独学で日本語の勉強を始めたということ。
平仮名ひとつずつ訳しながら読み解くほどの熱烈なファンだったそうです。
「高校生の時、たまたま散歩中に近所にお住まいの日本人の方と出会ったのをきかっけに、個人的に日本語を習うようになっていました」というほど、ローラさんの勉強熱心な性格がよく伝わりました。
ローラさんが朝来市で行っている業務のひとつ「フランス語文化講座」は、年に12回、和田山生涯学習センターで開催されています。
その内容はパリコレクションやフランス革命など、有名な文化・歴史を学ぶと同時に、フランスの日常の生活スタイルや文学などをローラさんの目線から教わることができます。
ご自身も「業務の中で、この講座が一番やりがいを感じています。」と話されていました。
このほかにも、年に2回、お菓子作り教室も開催され、フランスの家庭的なケーキ作りを生徒さんと一緒に楽しまれたそうです。
また、市内の学校を訪問し、ローラさんはこれまでの経験談やフランス文化についてなど様々なお話をされています。
日本に来てからの日頃の苦労話やアニメ好きなお話は、生徒からも反応がよかったそうです。
ローラさんは英語、ドイツ語、日本語、フランス語の4ヵ国語を話すことができ、時には英語でこども園の訪問事業をされたり、外国人訪問の際にも通訳として活躍されています。
◎フランス語文化講座の様子
ローラさんが朝来市で最も気に入っている場所は「竹田城跡」。
「竹田城跡にはもう14回も訪れました。朝来市は自然が美しくて、空気も美味しいところが気に入っています。特に山の形がきれいです(笑)」と朝来市の環境を気に入っていただけている様子。
「気候もフランスと似ていて、過ごしやすいですが、夏はすごく蒸し暑くて大変でした…」と一部、慣れない苦労も。
また、生野銀山や神子畑選鉱所跡も過去にフランス人技師が関わっていたこともあり、とても興味を持たれているとのこと。
「ここに来てから朝来市の歴史を知って、すごく興味が湧きました。竹田城跡も生野銀山もそれぞれの時代の歴史背景がとてもおもしろいです。生野町のトロッコ道(軌道跡)のある風景もすごくきれいだと思いました。」
◎竹田城跡
◎生野のトロッコ軌道跡
「普段の食事は節約も兼ねてできるだけ自分で作っています。特にお気に入りは豆腐で、値段もすごく安くて美味しいです。いつもは焼いた豆腐に好きなソースをかけたり、季節の野菜を添えて食べることが多いです。」と、しっかり自炊をされている様子のローラさん。
また日頃のお弁当にも自宅で調理したラザニアを冷凍保存して、レンジで温めて食べているという、家庭的な一面も見えました。
朝来市の生活には欠かせない車。
外国人移住者にとっては、日本の交通ルールの壁もあり、ハードルは高いイメージですが、なんとローラさんはリースを活用して車を所持されているそうです。
「免許は持っていたんですがパリでは運転する機会がなくて、初めての運転はここです。それに日本の軽自動車はとてもかわいいです!フランスには軽自動車がないので、私のお母さんも車を見て笑っていました(笑)」とご両親を招いて朝来市での生活を体験していただいたそうです。
「都会の運転は苦手だけど、朝来市は交通量も少なくてすごく運転がしやすいからよかったです」と、運転がしやすいという田舎ならではの魅力も教えてくれました。
毎月1回お惣菜教室に通っているというローラさん。
時には同じ教室の生徒さんに誘われて豆餅を作りに行ったこともあるといいます。
また、フランス語文化講座の受講生とも仲良くなり、一緒に神戸市へ遊びに行ったり、クリスマスパーティも楽しまれたそうです。
ご近所の方や子どもたちにも気さくに声をかけられているようで、移住後わずか1年で地域の人たちとも非常に親密になっている様子が伺えました。
◎豆餅づくりの様子
音楽やファッションが大好きなローラさんは、日本の音楽・ファッションにも積極的に触れているそうです。
新たな郷土芸能である「和田山虎臥陣太鼓」に参加したり、ファッションではロリータ系ファッションがお気に入り。
「キャリー ぱみゅぱみゅさんみたいな派手で大きなサイズのファッションがすごくかっこいいです!でもここ(市役所)では落ち着いた格好をしています。(笑)」と、休日になればお気に入りの派手めの服装で、お出かけしている様子。
そして、日本文化といえば京都の印象が強く、京都の寺院で開催される音楽イベントなどにも行ったことがあると話してくれました。
ローラさんの生まれはフランスの郊外。
朝来市はフランスの田舎と比較しても商業施設などが多く、十分に楽しめる場所があるという。
中でもカフェが好きで、週末など休みの日には、朝来市内にあるカフェめぐりをされているそうです。
ローラさんお気に入りのお店も教えていただきました。
「どこのコーヒーもとても美味しくて、日本はカフェが多いというイメージがつきました」と、朝来市での生活を楽しまれているようでした。
◎お気に入りのカフェでの様子
今回のインタビューでは、朝来市での生活に慣れ、地域の方との関わりを楽しまれている様子や、ローラさんの非常に勉強熱心な一面が伺えました。
毎月発行される「広報朝来」では、ローラさんがフランスの文化や、日本との違いで印象的だったことなどを紹介するコーナー「ボコブザ・ローラの ぱらりらぽん」を連載しています。ぜひご覧ください。