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ロングインタビューvol.3 市内外からのお客様で大人気! 焼き菓子専門店をオープン (菅原さんご家族)

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ページID:0002532 更新日:2023年1月6日更新 印刷ページ表示

ロングインタビューvol.3 市内外からのお客様で大人気! sugatti bakeshopをオープン

菅原 公平さん 知子さんご家族(移住先:朝来市山東町越田)

菅原 公平さん 知子さんご家族(移住先:朝来市山東町越田)の画像

プロフィール

 2019年5月に大阪から朝来市へ移住。
 現在、朝来市山東町越田(さんとうちょうおった)で焼き菓子専門店「sugatti bakeshop(スガッチベイクショップ)」を夫婦で営みながら、店舗兼住宅として古民家を改装した一軒家に住んでおられる。

 移住前は、大阪市西区でカフェを営まれていたが、創業から3年も経たずして朝来市へ移住することを決断された。

朝来市を知ったきっかけ

 菅原さんご夫婦が、朝来市を知るきかっけとなったのは、ほんの些細なことからだったという。お店をはじめてから1年半ほど経ったある日のこと、普段から野菜の納品でお世話になっていた事業者さんがお店に訪れ、唐突に「今度、朝来市の農地を見学に行くが一緒に遊びに行かないか?」と誘われたそうだ。朝来市という地名は、聞いたことのある程度。「海や山へ遊びに行く時に通る国道沿いの町」というぼんやりとしたイメージしかなかったが、誘われるがまま一緒に朝来市へ行くことにした。

 「当時は、店舗の営業に追われていたり、子どもが生まれたりしたこともあってほとんど外出ができていなかったのですが、この機会に家族で出かけてみようと思ったんです。」と、話す公平さん。一方、知子さんは、ちょうどそのタイミングで朝来市のことをテレビ番組の特集で知ったという。「今思えば、運命的な巡り合わせだったんだなあと感じています。」と話される。

 まさかこの外出がその後、菅原さんたちにとって人生の大きな機転となるとは夢にも思っていなかった。

朝来で友達になったご家族とお花見の画像
朝来で友達になったご家族とお花見

現地で情報収集

 野菜の事業者さんに連れられてきた朝来市山東町。ひと通り農地見学に付き合い、地元のカフェでランチを食べるなどしてプチ旅行を楽しんだ菅原さんご家族。のんびりとした環境に癒やされながら帰路につく頃には、「将来的にこんな場所に住んでみるのもいいなあ。」と考えていた。

 その後、大阪で普段通りの生活を送りながらも朝来で感じた空気感が忘れられず、何度か朝来を訪れた菅原さんご家族。「仮に移住するとして…」という思いのもと、シミュレーション的な感覚で、「周辺にはどんなお店があるのか? 町の各施設や設備はどれくらい充実しているのか?」など、情報収集をするようになったそうだ。

 菅原さんご家族にとって、必要な情報とはまずは住むところ。かつ、大阪でカフェを営んでいるので、朝来でもできればお店を運営したい。そうなると、店舗と住まいを共にできる、ある程度の広さを持つ住宅が必要だった。しかし、当時の空き家バンクを検索してもなかなか希望に合う物件が見つからず、目を引く物件を見つけても契約条件が合わないのが現実だった。

 また、子育て世代の夫婦にとって、教育施設はどのような雰囲気なのかも知りたかった。そこで朝来市を初めて訪れた際に知り合った市の職員に同行してもらい、ある保育園を見学させてもらうことになった。

 「見学させてもらった保育園の環境に、良い意味で驚きました。植物の名前を覚えたり、自然と触れ合ったりしながら過ごす子どもたちを見ていて、すごくいいなと思いました。」と話す知子さん。初めて子育てをするお二人にとって、環境は非常に重要だった。そのまま住んでいたら通うであろう大阪の保育園も見学し、長所と短所を比較しながら将来の子育てに思いを巡らせていた。
家族でお出かけの画像
家族でお出かけ

移住はタイミング

 初めて朝来を訪れてから、すでに5度ほど足を運んでいた菅原さんご家族。最初は軽い下見程度だったが、徐々に移住への気持ちが高まっていく。とはいえ、移住へのハードルは高く、まだまだ先のことと考えていた矢先のことだった。

 2018年10月に何度目かの朝来を訪れていた菅原さん。店舗兼住宅の物件を探していたが、やはり決定打にかける物件ばかり。またゆっくり探せばいいと思っていたその翌月に、朝来市役所を通して、地域の方から連絡が入る。その内容は、最初に空き家バンクで見つけた物件だが条件が合わず諦めていた住宅の紹介だった。「いくら良い物件でも条件が合わないことには…」と考えながらも、せっかくなので見学させてもらうことにした。そこで菅原さんの求める条件をダメ元で伝えたところ、所有者とお知り合いの地域の皆さんの協力により、なんと所有者の方が全ての条件を飲んでくれることになった。

 こうなると移住への思いがますます現実的になってくる。理想の住む場所が見つかり、さらに以前、見学した保育園も近くにある。この時すでに大阪で子どもの通う保育園を決めており、入園の手続きをするタイミングだったが、まさかの展開に将来の予定が大きく変わった。

 その後はトントン拍子で事が進み、翌年の2019年5月には晴れて移住が完了。大阪のカフェを創業して3年も経たないうちに起きた出来事だった。

 「本当は、子どもが小学校に上がる7,8年後ぐらいを想定していたのですが、まさか初めて訪れた1年後に移住しているなんて思いもよりませんでした。本当にいろんなタイミングや人とのご縁があってのことだとつくづく思いました。」と話す公平さん。

 移住をされた方から「勢い」や「タイミング」、「下調べ、事前準備」という言葉はよく聞かれることだが、それを現実にする行動力にはいつも驚かされる。

古民家をリフォームした店舗(外観と店内)の画像
古民家をリフォームした店舗(外観と店内)

市内外から大人気の焼き菓子専門店「sugatti bakeshop」

 無事、移住を果たした菅原さんたちの一番の大仕事は、新たな店舗を作ること。大阪のカフェを継承した新しいスタイルの店舗を作りたかった。家は空き家状態だったため、まずはリフォームが必要。このリフォームについても市の補助事業を活用し、店舗と住居を合わせた改修が可能になった。店舗部分については全体の約半額を、また住居部分については約4分の1を補助金で賄うことができた。

 古民家のレトロな雰囲気を残した玄関から入ると、かつて土間だった場所に美味しそうなタルトが並んだカウンターが設置され、居間の場所は開放されて、購入したケーキやコーヒーを楽しめるイートインスペースとなっている。基本はテイクアウト商品を購入するのだが、美味しそうなタルトやキッシュを見ていると、ついついその場で食べたくなってしまう。

 お店のコンセプトは、ヨーロッパ・フランスの地方にあるベイクショップ。飾らない素朴な雰囲気で旬の果実や野菜を使った家庭的なお菓子を提供されている。
 菅原さんの商品へのこだわりは、お菓子としてバランスの良いものを作ること。生地に使う粉は北海道産。卵はお菓子に合うように野菜のエサだけを食べて育った鶏の卵のみを、また、砂糖はしっかりとした甘みと味わいのあるグラニュー糖を使用。メインとなる具材には、近隣農家のものをはじめとした旬の果実・野菜をチョイスし、季節感があり、見た目にも美味しいスイーツの数々が並んでいる。できるだけ地元産の食材を使用しながらも、本来求めているのは野生味のある酸味を残した果実と、甘いクッキーやタルト生地との味のバランスだという。

 お客は、SNSの情報から市外からも多数来店されており、地元の食材を使うことで市のPRにもつながっている。

販売されているタルト とても美味しそう!の画像
販売されているタルト とても美味しそう!

あさご暮らしを始めて3年

 菅原さんたちが朝来暮らしを始めて3年が経過した今(2022年4月現在)、あらためて田舎で生活する事の印象を伺ってみた。「移住してよかったと思うことは、やはり子育てをする環境ですね。」と知子さん。「都会の人混みに紛れながら、子どもを連れて電車に乗ったり、買い物をしたり…。今となっては考えられないです。」と話される。のんびりと散歩をしたり、車でも渋滞のストレスなく外出ができたり、生活における些細なことも貴重と感じられたようだ。

 また、ご近所の方々からも日頃から声をかけてもらえるなど、防犯面についても安心ができるという。不便さよりも安全性が高いことの方が、気持ちが楽になり、子どもをのびのび育てられるということだった。

 一方、店舗については、近年、新型コロナウイルスによる集客の低迷が心配されていたが、人口密集度の低い田舎で感染の被害も都市部ほど大きくなかったということや、テイクアウト専門としていたことが功を奏し、さほど影響が及ぶことがなかったそうだ。「大阪でカフェを続けていたらと思うと…。朝来に来て本当に正解だったと思います。店舗運営に関しては、いろいろ下調べもしていたので、おかげさまで今のところは順調です。コロナウイルス等はさすがに予想できませんからね。」と公平さん。

 また、このたび、なんと知子さんのご両親も朝来へ移住されたそうだ。菅原さんご家族が朝来に移住されて以来、ご両親もたびたび遊びに来られていたそうだが、澄んだ空気やのどかな環境が気に入られて移住を決意されたという。知子さんのご実家は神戸市。海の一望できる素敵な場所だとお聞きしたが、そこよりも今後を朝来市で過ごそうと選ばれたということは、やはり、長く朝来に住んでいる者には気付けていない魅力があるのだろう。

 子育てに商売にと、日々忙しい生活を送りながらも穏やかな優しい雰囲気のお二人。これからは朝来暮らしの先輩として、ご両親を支えつつ、また新たな生活スタイルを築いていただきたいと思う。


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