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ロングインタビューvol.4 夢はブルーベリー農園と養蜂農家。四季の変化が楽しめるハチミツが絶品!(西村大輔さん)

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ページID:0006290 更新日:2023年1月6日更新 印刷ページ表示

ロングインタビューvol.4 夢はブルーベリー農園と養蜂農家。四季の変化が楽しめるハチミツが絶品!(西村大輔さん)

西村 大輔さん (移住先:朝来市山東町粟鹿)

移住者 西村大輔さん 写真

プロフィール

◎プロフィール
2015年に地域おこし協力隊として加古川市から移住。
現在、朝来市山東町粟鹿(さんとうちょうあわが)で3人の子どもを育てながら、果樹園の立ち上げと養蜂に励んでいる。
自然豊かな環境で作られたハチミツは、マルシェでの販売や都市部の飲食店でも好評とのこと。

移住を考えるようになったきっかけ

 移住前は加古川市でサラリーマンをしながら過ごされていた西村さん。平穏な日常を過ごしていた西村さんに突如やってきた分岐点は、日本全土を震撼させた3.11東日本大震災。震災から約半年ほど経過した頃に災害ボランティアとして現地に赴いた西村さんが目にしたのは、テレビで見たあの惨状と何も変わらない風景だったそう。ボランティア活動をしながら西村さんは、当たり前に思っていた電気・ガス・水道のない生活に衝撃を受けた。
 「自然災害はいつどこで起きるかわからないし、言ってみれば今の仕事もいつまで続けられるかわからない…それならもっとゆとりのある充実した日々を過ごしていたいって思ったんですよね」と話す、西村さん。
 西村さんの言う”ゆとりのある暮らし”の原点は、祖母との記憶の中にある。西村さん祖母のお家は「湯村温泉」で有名な兵庫県新温泉町にあるという。自然に囲まれた牛舎のある昔ながらの家。幼い頃によく遊びに行き、野山を駆け回っていた頃が楽しかったと今でも思い出されるそうだ。

 震災で感じた将来への不安や、幼少期に体験した田舎での楽しい記憶が、西村さんがゆくゆく移住することとなるきっかけになるのだが、なぜ同じ但馬の中でも朝来市を選ばれたのか。

 

移住先に朝来市を選んだのは?

 西村さんが朝来市とつながった理由は、ある人物との出会い。
 その人物は朝来市内でカフェを営む店主さん。この店主自身も大阪からの移住者で、バイクと音楽がお好きな人物だったそうだ。西村さんとは話が合い、出会ったばかりなのに5時間近くもお店で話し込んでいたうえに、帰りには大量の野菜もお土産にいただいたという話も。店主の生き方に共感を得た西村さんは、この後も店主のカフェに幾度となく訪れるようになり、いつしか朝来市が馴染みのある場所になっていた。

 住んでみたいと思える場所と、復興ボランティアで今後の生き方を考えさせられた体験、また田舎生活の楽しい記憶が結びつき移住を考えるようになっていったのだという。

 

妻への移住プレゼン

 移住へ想いを馳せていた西村さんだが、当時すでに結婚されており、まだ幼いお子さんもいた。もちろん、移住は自身の考えだけでは決定できないことだった。
 「移住したい、と最初に妻に話したときには猛反対されましたよ…だから必死で移住のプレゼンをしたんです。もちろん朝来市にも実際に来てもらい、どんな場所か見てもらいました。」と話す西村さん。やはり、仕事盛りでお子さんもいる状況において、突然の移住は反対されてもおかしくはない。
 「まずは意外と朝来市が近いということを知ってもらうようにしたんです。車で加古川・姫路から約1時間。思っているよりも身近な場所だというのを感じてもらいました。さらに、妻はお洒落なカフェが好きだったので、実際に妻が喜びそうなお店にも行ったんですよね。そうすると、すごく気に入ってくれて…」
 西村さんの数度にわたるプレゼンに対して妻もいつしか快く受け止めてくれたという。また、妻の勤務先の系列店が朝来市内にもあったということで転職の必要がなくなり、仕事面の不安も同時にクリア。運も味方して西村さんの決死のプレゼンが見事に採択された。

 その後、朝来市の地域おこし協力隊として採用され、晴れて朝来市への移住が決定した。突然の話であったため、移住後の1年半は別々の場所で生活をしていたが、やがて妻とお子さんも移住が完了し、西村ファミリーの朝来市での生活が幕を開けた。

空き家をDIYでリフォーム 地域の川で川遊び 写真

 古民家を購入して西村さん自身がDIYでリフォーム(左)
 自然がいっぱいの環境に子どもたちも大満足だそうだ(右)

 

地域おこし協力隊から養蜂農家へ

  現在は、養蜂農家として自宅でミツバチを飼育し、ハチミツを生産している西村さん。まだまだ試行段階でハチミツの出荷数も限定しながら、徐々に拡大を見据えている。養蜂をはじめたのは、協力隊として働きながらのこと。移住促進・空き家管理など、地域おこし協力隊としての任務に取り組みながら、趣味の一環として始めたそうだ。
 「朝来に来てからは本当にいろいろな事をやりましたね。狩猟の資格も取得したり、協力隊時代の仲間と協力して空き家管理の仕事を法人化したりしました。」と振り返る。
妻と同様にカフェ好きな西村さんは、以前からカフェに通い、そこでハチミツの美味しさや面白さと出会っていた。
 「いつか自分でハチミツを作ってみたいと思っていたんですよ。ハチミツ作りに関しては全く知識がなかったので、情報を得ようと有識者を頼ったこともあるのですが、思うようにいかずに、結局、独学で始めました。」と話す西村さん。興味のある事はとことん突き詰めていく性格だという。
 では、養蜂のミツバチは、どうやって手に入れるのか。聞くと、沖縄県など温暖な地域から取り寄せが可能だという。取り寄せたミツバチはまずこちらの環境に馴染ませながら飼育する。同じタイミングで仕入れたミツバチだけでは近親交配で群の状態が悪くなってしまうため、新しいミツバチを取り寄せ、数を増やしていくそうだ。
 西村さんが現在お住まいの地域は、近隣に大型農家さんがあったり、無農薬農法を取り入れた農地も多い。山が近いことに加え、桜並木もあるので、ミツバチの蜜の採取には適した環境だという。

養蜂の様子 写真

西村さんが育てるミツバチと蜂蜜。
蜂蜜の作られる過程や女王蜂の一生など、ハチの生態に関する話が非常に興味深い。

 

ミツバチと環境・食育を考える

 ハチミツにはさまざまな種類があるが、西村さんが生産しているのは、百花蜜と呼ばれるもの。百花蜜とは1種に限らずさまざまな花から集めたものをいう。季節やその年によって咲いている花が異なるため、変化する味わいを楽しめるという。実際に味わってみたが濃厚な甘味と芳醇な香りが鼻から抜け、とても美味しい。
 「ここでは非加熱のハチミツに限定して作っているんです。もちろん加熱して何度も濾した方が不純物などを取り除けるのですが、どうしても香りや味わいに深みがなくなってしまうんです。うちは百花蜜でその都度の味を楽しんでもらいたいので、加熱をしない生のハチミツを提供しているんです。」と、ハチミツへのこだわりも語ってくれた。
 このハチミツをもっと多くの人に楽しんでもらいたいと思う一方で、大量生産をするのであればもっと多くのミツバチを飼う必要がある。しかし、近隣には住宅もあり、周囲への配慮も必要だという。

 まずは、「怖い」という蜂のマイナスイメージを少しでも和らげるため、西村さんはミツバチの生態の講座や、ハチミツに関する食育も行っている。ミツバチの習性を少しでも知ってもらうことが目的で、今後はさらにこの活動に力を入れて取り組んでいきたいそうだ。

 

粟鹿地域の自然風景 写真

 西村さんの自宅から粟鹿山を望む。(左)
 四季折々の花から美味しいハチミツが作られる。(右)

 

目標はブルーベリーの観光農園と養蜂農家の両立

 西村さんが掲げる今後の目標は、ブルーベリー狩りのできる観光農園を作ること。またそのブルーベリーの花からとった蜜でハチミツを作ってみたいという。現在すでに準備にかかっており、試験的に複数品種のブルーベリーの栽培をされている。その品種の数はなんと45種類にも及び、その中から環境に適した品種を厳選しているところだという。中にはピンク色の実をつけるものや、500円玉ほどの大きさの実をつける珍しいものもある。
 さらに、西村さんの農園にはブルーベリーだけではなく、レモンやりんご、その他柑橘類などさまざまな品種の果物が生っており、その中心には元気に飛び交うミツバチの巣箱が置かれている。
 「ハチミツはできるだけブルーベリーやその他の果物の花からとって、香りの良いものにしたいんです。その過程でできた果物も副産物になりますから、養蜂とフルーツ農園は両立できるんです」と話す西村さん。趣味から始めたハチミツ作りが、どんどん本格化して、こだわりのものに成長しようとしている。自身の体験から得たハチミツ作りなので、個性もたっぷり。他にはないハチミツが楽しめるようになるはずだ。

 新たに歩みだした朝来市での生活。今の生活が充実しているのも、地域おこし協力隊の頃にできた仲間や関係者、地域住民のおかげだという。ご近所の方も通りすがりに親しく挨拶していかれることから、この地域での関係の良さが感じられる。
今後も持ち前の行動力と探求力を発揮し、地域をもっと元気に、そして魅力のあるまちづくりを先導していってほしい。

ブルーベリーの苗木 写真

 栽培中のブルーベリーの苗木(左)
 ハチミツづくりの副産物となるレモンの果実(右)

 

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