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一緒に考えよう!子どもたちが人生を前向きに歩んでいくための心の土台づくり(コラム連載vol.3 自分らしさを奪う「条件付きの愛」)
コラム連載vol.3
「条件付きの愛」とは
今から5年ほど前、うちの長男がまだ4歳くらいの時に、私は子どもに優秀な人間に育ってほしいという思いが強く、ゲーム感覚で算盤を教えていました。しかしすっかり父親側に熱が入ってしまい、「なんでこんな簡単なことがわからんねん!」と声を荒げて怒ったことがありました。おどおどと不安で惨めそうな表情をしていた長男の顔を今でも覚えています。やっちまいました。これは「条件付きの愛」です。
「条件付きの愛」とは、
「成績が良いあなたは好き」
「みんなと仲良くできない子はダメだ」
など、親が定めた条件をクリアしたときだけ認める関わりを言います。「条件付きの愛」を押し付けると、子どもは萎縮したり投げやりになったりして、過剰に親の目を気にするようになりがちです。
例えば子どもに「テストが悪かった」と打ち明けられた時に、「だから勉強しなさいって言ったのに!」と叱ってしまうと、子どもは
「次また悪い点を取ったらもう見捨てられるんかな。」
「どうせ、成績が良くないオレなんて。」
「もう相談もしたくないや。」
と自分が学びたいから勉強するではなく、ひとまず親の機嫌を取るために勉強する素振りを見せます。もちろんそのような精神状態で力を発揮できるかというと、疑問です。
立派な人間に育って欲しいという親の期待はあって自然ですが、親が過剰に理想を求めることは、子どもには大きなプレッシャーとなり、本人らしからぬ不本意な言動を招いてしまうこともあるのです。
期待値未満の時こそ、自己肯定感を育むチャンス
子どもの努力が実らず、親の理想通りにならなかったとしても、決して非難せず、まずは頑張ったことを認めてあげることが大切です。そうすれば、「期待通りにできなかった自分でも認めてもらえるんだ!」と、自己肯定感が育まれていきます。そう、期待値未満の時こそ、自己肯定感を育むチャンスなのです。
このようにお互いの気持ちを伝え合える親子の信頼関係を築ければ、不都合なことでも隠さず打ち明けやすくなりますし、社会に出てから過剰に人目を気にすることなく、自分らしく立ち振る舞うことができるようになっていくのではないかと思います。
自分好みの条件を付けて子どもたちを「愛して」いた私は、そんな過去を挽回すべく、「お父さんは好きなようにしてる。お前らだって好きなように生きる権利があるからな!」と、飲み過ぎを指摘された時はいつも熱く語ります。
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コラムの筆者の紹介
前川 進介 さん
昭和53年(1978)丹波市生まれ
(株)みんなの村代表取締役
平成28年度から朝来市人財育成プロジェクトディレクターとして、ASAGOiNGゼミU-18の講師や、自己肯定感を育むための言葉かけなどをまとめたパンフレット『子どもたちの未来のために子育て中の私たちが今できること』づくりに携わっています。