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一緒に考えよう!子どもたちが人生を前向きに歩んでいくための心の土台づくり(コラム連載vol.7 人の顔色を伺うようになる過干渉な関わり)
コラム連載vol.7
人の顔色を伺うようになる過干渉な関わり
私は昨年、労働者のメンタルヘルス向上を目的とした産業カウンセラー講座を受講したのですが、その中で、子どもの成長過程において親が過干渉になったために自分を表現できずに育ち、大人になってから仕事に支障をきたすほどメンタルが悪化した青年の事例を学びました。労働者のメンタルヘルスを考えるにあたっても、幼少期の親子の関わりが大きな影響を及ぼしているんだな、と再認識したところです。
その青年の事例に限らず、子どもの本心を無視して親が遊ぶ内容や相手を決めたり、学校や就職先などの進路を勝手に決めてしまったり、子どもが自分と異なる意見を持つことを許さなかったりする過干渉な関わりは、私の周囲でもよく目にしますし、私も体験してきました。
その親の過干渉な関わりに対して、子どもが自我を出して「私は別の遊びをしたい!」「俺の意見は親父のとは違う!」のように、「NO!」を突き返せればまだマシです。世間ではこの「NO!」と言い始める時期を「反抗期」と呼びますが、それは自立への意欲の現れだとも言えます。だから、子どもが反抗期を迎えたら、まずはその成長に一安心して、今後の関わり方を改めて考えてみると良いかもしれませんね。
問題が深刻化するのは、子どもが「NO!」と言えない場合です。それは一見「素直で扱いやすい良い子」に見えるかもしれませんが、実際は、自分の意見を持つことよりも周囲の顔色を伺うことを優先する「従順で自分を表現できない子」ですから、心が健全には育まれません。
さらに良くないことに、過干渉の影響は大人になってからも続きます。親の干渉を受けない会社の中でも、自分の意見を持てず同僚や上司の言動に振り回されて、仕事を辞めたいと思うほどメンタルを悪化させることもあるのです。
かく言う私も、その一人でした。数年前に鬱になったのも、結局は過干渉な父親との軋轢が大きかったのです。子どもの頃から過干渉された反動が、30歳を過ぎてからあるキッカケで爆発して鬱になりました。そこから立ち直る過程では、まるで少年の反抗期のように父親と殴り合う日々が必要でした。その「反抗」という過程を経て、ようやく今は親離れ子離れをして自立を感じます。
冷静に振り返ってみると、鬱になる前はどこか父親に依存していたように思います。やはり親の過干渉は、子どもを依存させ自立を妨げますね。
このように、大人になってからでも自分自身を取り戻し、自立することができないわけではありませんが、それには多大なリスクとエネルギーが必要だと痛感しています。だからこそ子どもの頃から過干渉を避け、早くから自立心や自己肯定感を育む方がいいよな、歳とってから子どもとあんな取っ組み合いのケンカなんかしたくないし(笑)、なんて思いながら私は日々穏やかに我が子と接しています。
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コラムの筆者の紹介
前川 進介 さん
昭和53年(1978)丹波市生まれ
(株)みんなの村代表取締役
平成28年度から朝来市人財育成プロジェクトディレクターとして、ASAGOiNGゼミU-18の講師や、自己肯定感を育むための言葉かけなどをまとめたパンフレット『子どもたちの未来のために子育て中の私たちが今できること』づくりに携わっています。