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私は、就任当時に市民の皆様にお誓いした「全ての市民の皆さんが幸せを実感できるまち」の実現に向け、市民の皆様との対話の時間を大切にし、市政を運営してまいりました。この4年にわたる市民の皆様との対話を振り返りますと、「人の数」の減少、「人の力」の減退に由来する「まちの力の低下」を危ぶむ声を多く賜りました。
さらにこの声は、子育てや地域活動、地域経済など広い分野にわたって共通する問題であり、その根底にある人口減少に抗うためには、横断的かつ重層的に施策を講じ、そこに人が住み、人が働き、経済が循環する仕組みづくりが必要であると深く認識しました。そして、その仕組みづくりが功を奏すれば、たとえ人口が減少しても必要な機能を残すことでまちが充実する「縮充」を図ることができるものと信じております。
朝来市に「住み続けたい」「住んでみたい」或いは「戻って住みたい」とお感じになった方々を「このまちにいれば大丈夫」「おかえり」と行政や地域、企業等が一体となり温かく受入れる態勢づくりを充実させてまいります。
それらを踏まえ、ここに令和7年度を迎えるに当たり市政運営の基本的な考え方を申し上げます。
まずは、半期を迎える「第3次朝来市総合計画」及び終期を迎える「第2期朝来市創生総合戦略」の仕上げとして施策の実践と総括、「第4次朝来市行財政改革大綱」に基づき財政規律を遵守し、後世に安定的な財政をつないでいくために「積極的な財源確保と賢い支出」を念頭に取り組んでまいります。
また、地方創生 2.0※の基本的な考え方をふまえ、朝来市全体の地域力の維持・向上と効率的な市政運営に取り組んでまいります。
その上で、令和7年度は前述した「住む」ことに照準を合わせ、朝来市に住むことによって、市民の皆様の幸福度を上げて行く「幸せと暮らしを守り、住みたいと思われる予算」として次の7つの観点に立脚した重点戦略と予算を編成し市政を運営してまいります。
※新しい地方経済・生活環境創生本部が示した戦略で、人口規模が縮小しても経済が成長し、社会を機能させるため、若者や女性に選ばれる職場や暮らしを実現する政策などを盛り込んだもの。
(幸せと暮らしを守り、住みたいと思われる施策)
「すべてのこどもは大切にされ、基本的な人権が守られ、差別されないこと」とするこども基本法の基本理念にのっとり、次代の主役となる朝来市の全ての子どもの健やかな成長を促すとともに、子どもの権利が十分に尊重される子どもをまんなかにした子育て環境を築いてまいります。
また、家庭で愛情を持って子育てをすることを基本に、子どもと子育て家庭を取り巻く環境の変化に対応して、子育てを地域全体で支援してまいります。
市内の全ての子どもの身体的・精神的・社会的な幸福を実現させるため「朝来市こども計画」の策定に向けた準備業務を進めます。
子育て世代の家計負担を軽減し、健やかな子どもの成長を支えるため、小中学校児童・生徒の給食費を完全無償化するとともに、私立こども園の副食費に係る補助金を見直します。引き続き高校生等までの医療費を無償化します。
GIGAスクール構想に基づき中学生1人につき1台配布したタブレット端末に英語学習アプリを導入することで、英語に触れる機会を増やし、英語力の向上を図ります。
保育環境の多様なニーズに対応するため、在宅で保育を希望される人に対しての支援金制度を継続するとともに、ファミリー・サポート・センター事業を啓発し、地域の助け合いによる子育てを一層推進します。
経鼻インフルエンザ予防接種費用を助成し、被接種者の心理的・身体的負担の軽減、医療機関内における感染リスクの回避を図ります。
森林環境譲与税を活用し、こども園等への木育推進を図ります。
市営住宅の子育て世帯枠等の入居者を引き続き募集し、子育て世帯等の定住促進を図ります。
東京圏への女性の転入超過が男性を上回る傾向が続いている昨今において、女性に選ばれる地域づくりが全国的に進められています。 本市においては、昨年 1年の男女別人口動態を見ると、流出数は男女ともにほぼ変わらないものの、流入数は1割以上女性が少ない状況となっています。結婚から出産、子育て、就業に至るまでの一連の取り組みを深化させ、女性に選ばれ女性が活躍できる環境を整えることで女性に好まれるまちづくりを推進してまいります。
引き続き大規模婚活イベントを実施して未婚男女の出会いの場を創出するとともに、結婚新生活支援補助金により、新婚生活を応援します。
本市に生まれてきてくれる新たな命と母親の命を守るため、妊娠・出産期に係る朝来医療センターの産婦人科外来での診察日数を拡充するとともに引き続き朝来市こども家庭センターでの相談体制等の充実を図り、併せて産婦人科・小児科のオンライン相談により妊産婦や子育て中の保護者の孤独や不安を解消し寄り添う体制を整えます。
新生児の聴覚検査費用及び産婦健康診査に要する経費の上限額を撤廃し全額を助成します。
乳児健康診査の助成制度や乳幼児等・こども医療費助成制度の継続により子育て世代の経済負担を軽減します。
我が国は世界有数の災害発生国であり、自然災害の頻発化と激甚化は年々その脅威を増し続けています。有事の際は人命最優先の即応体制がとれるよう平時の備えを不断かつ強固なものにしてまいります。また、高齢者の交通事故リスクの低減や人身被害が懸念される有害鳥獣対策を講じてまいります。
ワンコイン浸水センサ等を活用し、迅速かつ的確に災害情報を把握することによりいち早く市民の皆様の安全を確保します。
除雪作業を担う地元建設業の人材確保を支援するため、除雪車運転資格取得費用等の補助を行います。また、除雪機械の確保と維持更新に必要な支援をするため、固定損料の見直しを行います。
鳥獣被害対策実施隊員が危険を伴うクマ等の駆除活動を安心して行えるよう隊員に非常勤公務員としての身分を付与し、公務災害の適用対象とするなど処遇の改善を図ります。
近年の頻発する豪雨による災害から市民の皆様を守るため、がけ地等に近接する住宅にお住いの方の移転費用を補助するとともに、住宅の耐震化率の向上を図るため耐震改修補助金を拡充します。
交通事故から大切な命を守るため、運転免許証を返納した高齢者が購入するシニアカー等の購入費用の一部を補助します。
市民の皆様が災害時または災害の備えに向けた自助に関する取り組みを積極的に実施できるよう防災用品購入費用の補助を行います。
朝来市災害復旧事業補助金の補助率等を見直し激甚化・頻発化する自然災害と昨今の物価高騰による地域の負担を軽減します。
本市にお住いの高齢の方々が今後もますますお元気で活躍いただける環境の創出に取り組みます。また、障害のある方が障害の有無によって分け隔てられることなく、希望を持ち社会参加できる社会の実現を目指してまいります。
紙おむつは廃棄する際にかさ張り、ごみ袋の消費が多くなることから介護者の経済的負担を軽減するため要介護者等に対しごみ袋を支給します。
近年の夏場の猛暑や冬場におけるヒートショックから高齢の方を守るため、いきいき住宅助成対象工事に窓の断熱工事を追加します。
高齢者等の社会参加を促進する主要な交通手段として「あさGO」の運行を市内全域へ拡大します。
民生委員・児童委員及び民生・児童協力委員の活動環境の改善を図るため、市独自の費用弁償制度を創設します。
視覚障害のある方に対する視覚障害者用拡大読書器やストーマ造設者に対するストーマ装具などの給付基準額を近年の社会情勢に照らした適切な価格へと見直し、経済的負担を軽減し、自立した生活や社会参加の促進を図ります。
心身ともに健康で生きがいを感じ暮らすことができるよう、がんの早期発見・早期治療を促進し、健康寿命を延ばすため国民健康保険加入者のがん検診(胃がん等5つの検診)を無償化します。
令和4年度から実施している障害者(児)訪問入浴サービスについて、猛暑が続く昨今の状況を鑑み、夏季における訪問入浴サービスの利用回数を増やすことで利用者の清潔な身体状況の保持を図るとともに、介護者の負担の軽減を図ります。
帯状疱疹予防接種は、定期接種対象者の自己負担の軽減を図るとともに、任意接種者についても引き続き助成の対象とします。
福祉分野とまちづくり分野との連携による重層的支援体制整備事業の移行準備を行い令和8年度からの本格的な運営を目指します。
国の第6次環境基本計画の目指すべき可能な社会の姿「環境保全とそれを通じたウェルビーイング(高い生活の質)が実現できる循環共生型社会の構築」と第4次朝来市環境基本計画の望ましい環境像「人と自然が共生し豊かな環境を守り活かすまち朝来市」の実現を図ってまいります。 また、デジタル技術の活用により行政サービスの利便性向上と効率化を図 ってまいります。
プラスチック資源の循環を加速し、社会全体で循環型社会への移行を図るため、プラスチック製品も資源ごみとしての収集を始めます。
人と自然が共生しながら朝来市の豊かな自然を保全し、次世代に引き継いでいくことを目的とした朝来市自然環境保護施設(仮称)の整備を進めます。
市役所窓口の手書き申請書類を削減しDXによる書かない窓口の導入で利便性の向上を図るほか、公共施設管理や対人サービスについてもデジタル化を進め行政サービスの効率化を推進します。
窓口における各種証明書等発行手数料のキャッシュレス決済の導入と市民課窓口に発券機を設置することにより、窓口における利便性の向上と業務の効率化を図ります。
合併から 20 年の変遷の中で、地域社会や家族の在り様などが大きく変容しており、時流に即応した適時適切な行政サービスを提供することが急務となっています。市民の皆様の声に真摯に耳を傾けるとともに、市民ニーズの変化には、柔軟性を持って対応してまいります。 また、女性や若者に選ばれるまちづくりを進めてまいります。
市民一人一人が多様性を認め合いつつ自分らしく輝き、お互いが協力しあえるまちを目指し、あさご未来会議等で出た意見を参考に総合計画後期基本計画を策定します。
デジタル化の進展で日常の利便性向上が図られている一方で、個人の人権を無視したネットによる誹謗中傷等を横行させないための教育や意識の醸成、啓発を行います。
ふれあい市長室やまちづくりフォーラムでの地域の方々の声、中学生の保護者の皆様や高校生の子育て現場や教育現場の生の声を聴き施策に反映させます。
視野を広げた新しい行政サービスの在り方を研究するため大学等との連携を推進します。
市民の皆様の声を聴き「みんなに伝わる広報」の在り方を研究します。
旧来の労働確保という視点ではなく今後の地域維持に外国人の力を借りる必要があることを認識した多文化共生の地域づくりを研究します。
地域自治協議会への支援体制と包括交付金の見直しを行うことにより、今後の集落活動を補完する地域自治協議会の強化を図ります。
地方創生2.0の基本的な考え「安心して働き、暮らせる地方の生活環境の創生」に基づき地域資源を活用した高付加価値産業の創出とそれらを活用した外貨の獲得を積極的に進めてまいります。 また、足腰の強い経済基盤の構築を図るとともに、将来を担う若者が魅力を感じるまちとして都市基盤の整備を進めてまいります。
企業誘致や市内事業者の規模拡張の受け皿となる産業団地の造成を進めるとともに、起業を促進し内発的な産業の活性化を図ります。
女性が働きやすく女性に選ばれるまちへの取り組みを進めるとともに、若者の市内就職に向けた取り組みを推進します。
オーガニックビレッジ宣言に基づいた有機農業を地域全体で進め農産物の高付加価値化を図ります。
物価高謄による農家の経済的負担を軽減するため、引き続き水稲苗代補助及び新たに肥料等資材代の一部を補助します。
市内農業者の負担を軽減するため、ラジコン草刈り機を無償貸与します。 日本農業遺産の認定を受けた岩津ねぎを核とした資源循環型農業システムを有効に活用して、岩津ねぎを全国に発信するため、本市で開催する「全国ねぎサミット2025inあさご」を盛り上げ積極的にPRを行います。
万博等を機とした観光客の呼び込みを推進し、市内観光入込客数及び観光消費額の増加を図ります。
まちの玄関口となる和田山駅周辺の賑わいの再生と持続的な活性化を図るとともに、高校生から要望が多い駅周辺への居場所づくりの整備を進めます。
プレミアム付スマホ決済「あさご Pay」を発行することにより、市内における消費喚起を図るとともに、物価高騰の影響を受ける家計を支援するため「あさご元気応援券」を全市民に配布します。
市内事業者の経営の安定と市内経済の活性化を図るため店舗のリニュ ーアル工事に係る費用の一部を補助します。
デマンド型乗り合い交通「あさGO」を市内全域に拡大し、さらなる利便性向上を図ります。